― テーマ
大原漁港映画祭

今年の2月に「いすみの入口」をテーマに活動日を企画して、はや10ヶ月。今回は大原漁港を舞台に、一人一人が監督となり映像作品をつくりながら漁港の入口探しを企画しました。

「なんとなく漁港が気になる」今回の企画はそんな気持ちが湧いてきたことがきっかけです。今年の活動日は漁港を訪れる機会が多かったように感じます。そんな中で、漁港や漁船、遊漁船、漁師さん…様々なものをみたり、触れたり、そんな場面が多くありました。そのたびに自分が漁港を取り巻く営みや暮らしを全く知らないことにハッとしました。

そこで今回は、まだまだ未知の空間である大原漁港をフィールドに、ひとりひとりが気になるもの、価値を感じるものを撮影して、映像作品として発表します。どんなものに目を付けるのか、どんな風景をどんな角度で撮影するのか、切り取りかたは…。皆さんの頭の中にある今の「大原漁港」を映像として表現してみてください。映像作品は「大原漁港映画祭」と題した当日の発表会で上映し、いラセンのSNSにも掲載します。皆さんの作品が誰かの入口となったらおもしろいですね。

 

― 今月のプランナー
ゆりな さん

富士山の麓で生まれ育ちました。海は常に程遠い存在で、自ら訪れるということはありませんでした。いラセンに参加する中で漁港に訪れて、初めて「海とともにある暮らし」に触れました。山の暮らしとは全然違いますね。
私はもともと一所にとどまることが苦手で、地方と都市を行ったり来たりしているときが一番ほっとします。夜に数十キロ離れた鉄道の音が聞こえてきたり、日が沈むと真っ暗になったり、私は地方のそんなところに魅力を感じます。都市の便利さや刺激的な部分も好きです。行ったり来たりすることで気づくこともたくさんあります。今回はその一つを企画にしました。個性豊かなメンバーによる映画祭がどうなるのか、楽しみです。

 

 

― テーマ
沿線遺産 再発見

いすみに住んでいない私たちが、いすみで活動をはじめて、まもなく5年。都会と違って、境界があいまいな街並みに解きほぐされるような気分。自然ゆたかで、のどかな田園風景に癒される体験。急かされない、ひとつながりの時間。そうした恩恵をいつも、いすみからもらっている気がします。はっきり言葉で示すのは難しいのですが、そんな恩恵を感じる「もの」が、いすみにはあるのです。

今回それらを半日かけて、散策したいと思います。大多喜のいすみ鉄道の本社からはじめて、いすみ鉄道の各駅に散らばって、それぞれが、これが良いと思っている「もの」、いすみらしいと思う「もの」残したい「もの」。今回のワークショップでは、これらを「沿線遺産」と呼ぶことにしました。きっと、私たちが感じるそれらは、地元のみなさんからすると、思いもよらないものかもしれません。でもそれを発見することが、私たちの存在意義かもしれないと思っています。

その散策の舞台は、いすみののどかな景色ランキング上位の「いすみ鉄道」の、沿線空間で行います!当日の成果は、神奈川大学の寿太郎研の3年生がまとめ、まちの方や行政や商工会のみなさんに、伝えたいと思います。

― 今月のプランナー
高橋 寿太郎 さん (神奈川大学 建築学部 教授)/神奈川大学 建築学部 寿太郎研究室

創造系不動産という会社を経営しつつ、ライフワークとして、いすみラーニングセンターで活動し、また神奈川大学で教えていますが、今回の企画は、はじめて大学研究室の正式なプロジェクトにすることができました。いラセンと寿太郎研のコラボです!

またもうひとつ、はじめてのことがあります。これまで、ちゆきさんやメンバーがプランナーとして様々ないすみの魅力あるひとや場所を巡っていましたが、なんと私が、企画を考えたことです。

この沿線遺産の企画は、ここ数年、何となく考えていました。私ひとりではできませんでしたが、寿太郎研のみんなの力や、いすみ鉄道さんや、いラセンのみんなの力を借りて、実現です。

 

― テーマ
種蒔き茶会

2020年10月18日に「菜の花の種まきイベント」に参加しました。普段立ち入ることができない鉄道地内(管理区域)に立ち入ることができ、種を蒔き、開花時期に訪れるといった一連の体験により、いすみ鉄道とその沿線をより身近に感じることができるようになりました。公共交通機関である鉄道を”身近に感じるようになる”とは、単に日常的あるいは観光目的の交通手段としての利用の関係を超え、次なる関係の構築につながる可能性があり、ローカル鉄道の本質的な魅力に迫ることができるのではないかと考えています。

種蒔き茶会のテーマは「沿線空間を”内側”から体験する。」です。
菜の花の種を蒔き、掃除をしたりとちょっとだけ鉄道職員さんのお手伝いをして、沿線空間の関係者になる。菜の花の季節には”外側”の人が観に来たり写真を撮ったりする。「客が行きつけの居酒屋でカウンターの内側に立ってちょっとだけお店を見といてと頼まれた感覚。」と玉井さんが喩えてくれました。場所は国吉駅のすぐ横のキハ車両が置いてある辺りです。キハ車両もこの日は開放されます。そこで菜の花の種蒔き作業をして、お茶しながら、おしゃべりしながら、沿線空間の一日を過ごす。ただそれだけの企画ですが、沿線空間を内側から体験した時、どんなことを感じたり考えたり話したりするのか、皆んなで共有することができればと思っています。

― 今月のプランナー
金谷 聡史さん(沿線空間クリエーション)

いすみへの最初の訪問は2017年の春。きっかけはいすみ鉄道でした。月刊『散歩の達人』のムック版の『鉄さんぽ』にいすみ鉄道の特集があり、紹介されている沿線風景に惹かれて、都内からも近いこともあり思い付きの日帰り旅行で訪ねました。きっかけがいすみ鉄道だったからということもあり、いすみラーニングセンターではローカル鉄道研究というテーマで活動しています。
幼い頃から鉄道は好きですが、乗り鉄、撮り鉄というより鉄道模型で風景を作る遊びが好きでした。ジオラマで風景を作るためには、どのような人がどのような暮らしをしているのか想像してその風景が生まれる背景にあるストーリーや仕組みを考えます。それを考えることが楽しくて、今の建築設計のスタンスにつながっている気がします。

― テーマ
海と暮らす生活や文化について学ぶ「おおはら学」 シリーズ第3弾
大原はだか祭りの取材祭り!

一年のうち、いすみがもっとも活気づく日、それが大原はだか祭りです。上半身裸の男たちが神輿を担いで町中を練り歩き、波の中でそれらを舞い上げる。見守る地元民、このため里帰りした家族、観光客の人だかり。静かな町の二日限りの熱狂。

しかし、この数年は新型コロナウイルスのため開催が見送られていました。去年は規模を小さくして再開していましたが、ようやく今年から本格的に開催することになりました。

いすみラーニングセンターの発足は2019年の春だったので、はだか祭りの本格開催はその年の夏以来になります。そのため、メンバーの多くは、いすみを知るために集まっているにも関わらず、この日は未体験です。そこで、今月の活動日はお祭りの日にしました。とはいえ、観るだけで終わらせず、間接的にでも何か参加できないか? と編集部は考えました。

そこで、各メンバーがお祭りを取材して記事をつくり、それらを集めて「いラセン新聞」の号外にまとめることにしました。私たちのお祭り、取材祭りです。各記事は小さく断片的で、集めてもお祭りの全貌は見えてこないでしょう。それでよいのです。私たちの目に映ったお祭りを残したいのです。

この新聞を読んでくれた人がひとりでもふたりでも来年以降のお祭りに観光に来てくれたら、私たちなりのいすみへの恩返しになるのではないでしょうか?

 

一週前夜祭
9月14日(木)20:00@zoom

活動日
9月23日(土)@大原

― テーマ
大原漁港アートウォーク 〜パラレルワールドへようこそ

大原漁港との出会いは2019年3月いすみラーニングセンターが始まって2回目の早朝です。漁港の日常、小屋、何気なく置かれ、積み重ねられたものたちが純粋に美しく、どんどん、奥へ奥へと歩いていった記憶があります。漁港の仕事と暮らしには当たり前に存在している建物たちも、自分にとっては建築家無しの建築と言えるほどに存在感を感じるものでした。漁港の屋根、小屋、トタン群、倉庫、、、その中に今回訪れることとなった「船忠荘司造船所」も含まれています。

「パラレルワールドへようこそ」という、ちょっと?な企画となりますが、漁港に蓄積された時間、港の建築群、風景、ものたち、音、、、etc…を感じていると、ふと、「平行世界 」に入り込んでいる自分に気づきます。お気づきのように、実は僕自身もどこへ向かおうとしているのかわからないのですが。

今回は「おおはら学の第2回」パラレルワールドへようこそ、言わば「妄想学のフィールドワーク」です。造船所という積み重ねられた時間の船に乗り込み、「心が動いた何か」「不思議で可笑しなものたち」「音」「風景」「時間」様々を記録しながら、自由に妄想してみてください。どこから来たのか、何と繋がっているのか、、、
一つのアートとして歩き、楽しむ「アートウォーク」でもあります。ぜひ自由な妄想を繰り広げてください。

― 今月のプランナー
玉井 清さん

いすみラーニングセンターに参加したきっかけは、寿太郎さんに仕事の企画を持ち込んだんですね。もう5年ほど前です。「いいね〜で、いすみ 行かない?」いすみが何処にあるのかもわからないままに、いラセンが始まり、研究何する?「え、あ、小屋」苦し紛れに言った「小屋研究」。今思えば、始まりは大原漁港の1人歩きにありましたね。その後、「小屋ビギン」をやったり。不思議ですけど、小屋いじることを「小屋やってる」とか、「小屋やる」って言い始めるんですね。とうとう「小屋やってる人」って言われてます。活動が追いついていないな〜「小屋やってる人」の称号に追いつきたい「小屋おじさんです」あ、パラレルワールドは多分あります。行ったことないけど!すでにいラセンがパラレルワールドだと思うんですけどね。

― 日時
2023年8月26日(土)

― 集合
10:20@JR外房線「大原」駅前

―テーマ
いラセンを肴に…

いすみラーニングセンターってなんだろう?可能性ってなんだろう?
こんな感じの事を開始当初からいわれていて、いつも「よくわからないのが良さ」みたいにみんなで納得していました。今回はそれを僕なりの解釈で探ってみたいと思います。そのために今まで僕がいすみを通じて学んだ言葉や事、体験した企画などを振り返りながら考えてみたいと思います。。

また僕やいラセンメンバーとの会話から出てきた実現していない大小様々な企画を発表しながら、それを実現化するにはどうしたら良いかという、0→1ではなく0→0.1〜0.2の行為を考えていラセンの可能性を体感したいと考えています。

これによってタイトルの「いラセンを肴に…」の後を、「知る」「学ぶ」「遊ぶ」「楽しむ」「考える」など色々な言葉にそれぞれが繋げるきっかけになれば良いなと思っています。これらはどれも自分の内外でちょっとした変化が生じます。その変化を感じていラセンの事を説明出来たらと考えています。
基本的に自発的な会話を目指す企画です。

― 今月のプランナー
廣瀬 武士さん

いすみラーニングセンターには最初から在籍しています。ほぼ皆勤賞。自己紹介で「高橋さんに誘われたからきた」「普段あまり遠くに行かないからこれを機に外に出たい」と言ったら引き篭もりと思われました。
いラセンでは今まで企画をやるというよりも、他のメンバーの企画に参加したり手伝いをしたりしていました。

普段はさいたま市の浦和にて廣瀬協力建築設計事務所という「設計事務所の時間をつくる」を理念とした、設計事務所への協力を目的とした設計事務所を営んでいます。

模型・パース・プレゼン作成を始めとしたデザイン業務は行わず、手続き・作図などを行っています。いラセンでも似た様な感じで係わっています。何にしても自分が前に出るよりも一歩後ろで動くのが好きで合っているようです。でも多分実は自己中で我儘です。

 

 

―テーマ
わたしたちの種まきラーニングセンターも今年で4年目。4年目となった2月からはプランナーさんが企画する活動日が始まり、先月で4回目となりました。この取組み面白いな、と自画自賛です。その一方で、私自身プランナーを担当したときには、企画がなかなか思いつかなかったり、プランナーさんに伴走する際には、本当に興味や関心を掘り起こせているのか、悩む場面もありました。そこで今回は、「活動日づくり」の一歩手前にある自分の「興味」を掘り起こすことからはじめてみたいと思います。これまできになっていたこと、好きなことのひとつひとつを
植物の種に見立て、活動日にその芽を育てていく。その中で、「研究」へ実種も生まれてくるかもしれません。名前も形も色も数も違う、自分だけの種をみんなでまきましょう。
今月のゲストは、いラセンOBの宇高 大造さんです。現在は東京といすみの二拠点で「のんびりローカルライフ」を楽しみつつ、移住検討者に向けた情報提供を行う一般社団法人『いすみコミュニティーアップ』を設立し、新たな活動がスタートしています。積極的に活動を広げてきた宇高さんの三年間、その活動の種と芽の育ち方はどのようなものだったのでしょうか?今回はお隣の方から譲り受けたばかりという、古民家で一日を過ごさせていただきます。(編集部企画 Yurina&Chiyuki)

 

― テーマ
あなたの知らない漁師町大原へ

民族学では、研究対象とする集団を調査するため、現地に赴き彼らの生活に入り込んで観察や聞き取りを行います。想像するに、文化や慣習、言語の異なる人たちの話は、始めのうちは半分も理解できないんじゃないだろうかと思います。

今回はそんな回になりそうです。訪問先にと紹介された大原漁港のベテラン漁師、山口さんにご挨拶に行ったら、お年寄りといってもそこまででもなく、方言は濃いけれど聞き取れないほどでもないのに、言っていることが半分も分からないのです。5月の活動日はどうなってしまうんだろう?と始めは困惑しました。でもよく考えてみたら、その”分からなさ”がその集落のリアルなのではないでしょうか?

これまでの訪問先は移住者の方がほとんどだったため、いすみについて外からの目線、つまり私たちと比較的近い目線からお話をお伺いしてきました。今回は違います。内から大原の深部に迫ります。”港の家”を構えたけれど、知ってるようで知らない大原。大原を通して海と暮らす生活や文化について学ぶ「おおはら学」の第一弾は、漁師の山口さんから大原漁港の漁のこと、はだか祭のことをお聞きしたいと思います。

― 今月のプランナー

田中 正洋さん

20代の後半、漁師をしていた時期があります。そのせいか、漁船を見ると、この船は仕事しやすそうだなとか、丁寧に手入れされているなとか、観察してしまいます。大原漁港に並ぶ船がどんな漁をしているのか聞きたくて漁師の方の訪問を希望しました。そして、事前ヒアリングにお伺いした結果は先に書かれた通りです。今月は、フィールドワークの調査員になったつもりでご参加下さい。

午前は「おおはら学」の船出として、大原についてみなさんが知っていること、経験したことを持ち寄りシェアするワークショップを行います。持ち寄るのは、地理、歴史、伝統、文化、グルメ、ゴシップ、大原についてなら何でもよいです。活動日まで、大原について少し振り返っておいて下さい。当日に向けて考案中の携行用地図ノート「まち歩き野帳」を使って、自分目線の大原を記録してもらいます

―テーマ
「廃墟」に茶室?!
―今月のプランナー高田 哲さん

この建物、大原タクシー跡を初めて意識したのは今から1年半前の2021年10月。いラセンで行った「天井落とし and お掃除ワークショップ」です。

最初の印象は「最早、空き家でなはく廃墟」でしたが、みんなで宇宙服のような防塵服で作業を進めていく中で、突如、天井裏から現れた美しい梁や柱。そして夕暮れの雨上がりにピンク色に染まった空、窓から流れてくる風の心地良さにハッとさせられました。どこか懐かしくも、外界から切り離された異空間のようで、この空間に限りない可能性を感じました。その中でも、最後まで気になっていたのが、手付かずにあった1階の二畳程の小部屋。粗野で荒れ果てたこの空間から、いきなり「茶室」というイメージが湧いてきました。

僕自身、お茶の経験は全くありませんが、なぜか「茶室から作ってみる」という行為にとても魅力を感じました。今回、皆さんと今一度、現場を見学し、その後、ここの2階でお茶をいただきながら、対話したり手を動かしながらイメージを膨らませ、今後の実行プランを企画していくワークショップを行いたいと思います。是非、ご参加ください!

―テーマ

田舎のポテンシャル

―今月のプランナー

わかなさん

「田舎」が好きになったきっかけは、なんとなく自然がある場所に惹かれる、アウトドアな遊びがしたいという理由でした。しかし大学生の頃に地域やコミュニティという分野を学ぶ中でコロナが起き、先が見えない不安が生まれ、遠くで生み出されたもの(食やエネルギー)をお金だけに依存しながら消費する生活スタイルに疑問を感じるようになりました。それから「田舎」は私にとって必要不可欠な存在になりました。

そんな私の興味分野から今回は「田舎のポテンシャル」をテーマに、午前はいすみに移住しCSA(地域支援型農業)を行うサミーさんにお話を伺い、午後は、個人研究である「田舎遊び」の中で生まれた、ゆるキャラ「いなあそ」を使ったいすみ散歩ワークショップを行います!

今の時代だからこそ、「田舎」というフィールドは、変化に対応できるライフスタイルを生み出し、創造性を持って人生を楽しめる場所としてのポテンシャルを秘めているのではないでしょうか?

田舎から都会へライフスタイルが変わった人も、田舎を知らない人も、新たな田舎のポテンシャルを「いすみラーニングセンター」から見つけ出しましょう!