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今月も「いすみ」に来た。
1か月ぶりのいすみ。またこの不思議なまちを訪ねてしまった。
今日はどんより雲が広がり、肌寒い。生憎のお天気。今回は大原駅に初めて降りた。

『駅前を歩こう 街を歩こう』をキャッチコピーに
大原駅前に「本と音楽」を通じて、人が集まれる空間をつくる
大原文化ストリートの第6回目が3/20に開催された。

大原文化ストリートvol.6チラシ
「いすみ」ならではの、本屋・クラフト・フード・キッチンカー・体験が集まる。

時間になると、人々がゆっくりと大原駅前に集まりはじめる。
ストリートピアノの音色が軽やかに響き、広場を中心にたくさんのお店が立ち並ぶ。まちは様相をすっかり変え、一日限りのイベント会場になった。
途中、雨が降る場面もあったが、誰も気にする様子はない。
美味しいものを探す人、古本と出会う人、おしゃべりに夢中になる人——それぞれが思い思いに過ごしながら、同じ空間を自然に共有している。
老いも若きも、よそ者も地元の人も関係ない。誰でもふらっと入り込めて、自然と居場所ができてしまう。そんな空気が、このまちにはある。
ここでしかできない移住相談や世間話も、この雰囲気に背中を押されるように自然と生まれていた。
きっかけ一つで、まちの風景も、人との距離も、こんなふうに変わるのかもしれない。
気づけば僕自身も古本を3冊ほど手にしていて、すっかり参加者として楽しんでいた。


いラセン展示「#拝啓いすみ鉄道様」

いすみラーニングセンターも大原文化ストリートにて、展示出店した。
「#拝啓いすみ鉄道様」でインスタグラムに寄せられた菜の花にまつわる“黄色いもの”の投稿を、障子紙のスクリーンと障子戸を使って映像と印刷物で展示する企画。
このプロジェクトは、2024年秋の脱線事故で運休が続くいすみ鉄道を応援するために始まった「イエローキャンペーン」の取り組みの一環だ。
会場は、いすみの酒屋「出口商店」さんの築130年を超える旧店舗をお借りして
高秀牧場さんとピア宮敷さんのご厚意で、当日の朝にちゆきさんが摘んできたくれた菜の花が飾られ、会場はやわらかな黄色に彩られていた。

いラセンの活動を地域に知ってもらう、まさに絶好の機会だった。
この輪がもっと広がっていけばいいと、一参加者としても強く思う。
会場には多くの人が足を運んでくれた。座敷に上がり展示を眺めると、自然と会話が生まれ、初対面の人との距離もすっと縮まる。
出口商店さんというこの場には、まだまだ大きな可能性が眠っていると感じた。今後どんな展開が生まれていくのか、楽しみだ。
またいつか「いすみ」に。
いすみ鉄道は2024年秋の脱線事故の影響で、現在運航を停止している。
私が初めていすみを訪れたのは昨年10月のことで、残念ながらいすみ鉄道の列車に乗ることも、走る姿を見ることも叶っていない。いつの日か菜の花電車が再び元気に走り、多くの笑顔を乗せて沿線を彩る日が戻ってくることを心から願っている。
こうして第6回大原文化ストリートは、無事に閉幕した。

まだまだ終わらない「いすみ」! — 利き酒会で過ごした夜ー
夜は、いラセン展示でお世話になった「出口商店」さんが開く利き酒会にお邪魔した。 まったく縁も所縁もない、いすみでのディープな会。最初は身構えたものの、始まってしまえば、こちらのものだ。若い参加者は珍しいらしく、逆にそれが話のきっかけにもなった。
集まっていたのは、気のいい地元のおっちゃんたちばかり。 乾杯の声が上がると場の雰囲気がぱっと和んだ。年齢も肩書も関係なく、ただ「酒が好き」「このまちが好き」という気持ちだけでつながれる空間だ。
この日の利き酒会は、日本酒の種類も、まぐろなどの差し入れもとびきり豪華。 年度末の総決算のような、特別な夜だった。
この雰囲気は、文章だけではとても伝えきれない。 ぜひ一度足を運んでみることをおススメする。
こんな若造の自分でも、気づけば笑って、語って、すっかり楽しい夜を過ごしていた。

奥:4代目店主 出口幸弘さん、手前:5代目店主 出口宏希さん
利き酒会は基本、毎月第3金曜日に開かれる。
早起きをして、「いすみ」の朝へ

翌朝は、大原漁港で開かれる「土曜の朝市」を訪れた。
海風がやわらかく頬をなで、青空が広がる気持ちのいい朝。漁師町の味わい深い路地を歩いていく。港に近づくにつれ、活気ある声と潮の香りがふわりと漂ってくる。
会場には、地元の食材や季節の野菜、新鮮な魚介、おみやげなど、地域の魅力がぎゅっと詰まった出店がずらりと並ぶ。どの店にも生産者の顔が見え、思わず足を止めて話を聞きたくなる温かさがある。
昨日の利き酒会でお会いした方とまたここで会えたりと、地域を身近に感じられた。
さっそく、「地ダコのちまき」と「いわしのつみれ汁」をいただいた。どちらも素材の味がしっかりと感じられ、潮風薫る朝の空気と相まって体に染みるおいしさだった。
「土曜の朝市」は、人と地域と旬が交わる、贅沢な時間。 海とともに生きるまちの息づかいを感じられる特別な場だった。
こうして、僕は今日も「いすみラーニングセンター」に向かう。
まるで移住体験をしたかのような、いすみを満喫した1泊2日の3月活動日でした。
このコラムを書いた人
普段は横浜で大学生をやっています。
神奈川大学高橋寿太郎研究室所属の4年生です。
ゼミの一環として、いすみラーニングセンターに参加。
その異様な空気に触れて、いすみへの興味が爆発した。
大学ではワンダーフォーゲル部に所属し、山に通う日々。
登山をきっかけに、地域で営まれている暮らしや仕事、人のあたたかさに触れ、
次第に「場所」と「人」の関係に強く惹かれるようになった。
山の風景の奥にある、営みや暮らし。
それらをどう受け取り、どう未来につないでいくかを考えている。
夢はでっかく、ローカルプレイヤー。
まちと暮らしと山をつなぐ、そんな存在になりたい。