2024年4月20日(土)

― テーマ
大原と、大原に関わる人に触れる

私がいすみを知って、はじめて足を踏み入れた場所は「大原」でした。都心部から電車でそう遠くない場所にある「大原駅」の周りは、想像以上のローカル感。田舎や自然が好きな私にとっては、気軽に行ける場所にそれがあることに、まず感動しました。さらに、いすみには魅力的な人が沢山いることを知り、その人達の作る文化や風土に魅了され、このまちに通い続けたくなっていきました。

大原商店街で千葉の民藝品店「北土舎」を営む松村さんは、「北土舎」と宿泊施設「ナナクニヤマMINKA」で、ものづくりや田舎体験を提供したり、大原商店街を盛り上げたいという想いから「大原文化ストリート」というイベントを実施したりと、とても活動的な方です。
今回は、大原を入り口に、大原と、大原に関わる人に触れていきましょう!

― 今月のプランナー
佐々木 和奏さん(田舎遊び研究)

田舎と自然に興味があり、千葉県のグランピング施設で働いていたことがきっかけで千葉の田舎に惚れ込み、東京で会社員をしている今も千葉県に住み続けています。
いすみラーニングセンターの研究テーマは「田舎遊び」と「ゆるキャラ」です。「いなあそ」という自作ゆるキャラを作り、千葉県エリアの田舎の風景に溶け込んだ写真や映像を作っています。

― 今月のゲスト
松村 剛さん(民芸店・北土舎/民泊・ナナクニヤマ/レンタルスペース・NARUSE)

東京都町田市生まれ。大学卒業後、幼少の頃より慣れ親しんだ千葉県旧大原町へ居を移し、県内のガス会社にて26年間勤めた後退職。
大原駅近くにある母親の生家の一部を改装し、県内の工芸品や手仕事品を販売する「北土舎(ほくとしゃ)」を立ち上げ、地域工芸の魅力を伝えるべく販売のみならず体験会やトークショー等を開催する。コロナ禍後はいすみ市内にて地域工芸に触れることのできる民泊施設、また北土舎裏ではレンタルスペースを同時期に開業。工芸をキーワードとしながら地域と人をつなぐ活動に邁進中。

北土舎
https://www.instagram.com/hokutosha/

ナナクニヤマ
https://www.instagram.com/nanakuniyamaminka/

NARUSE
https://www.instagram.com/rentalspace_naruse/

― テーマ
いラセン卒研発表会(仮)

3月は卒業シーズン。学業や研究の集大成をもって次のステージに向かいます。そこで今回は一緒に活動されていた玉井さんと高橋慶成さんにこれまでの活動を振り返っていただき、これをいすみラーニングセンターの卒業研究発表会として執り行う企画です。発表会の後は交流会を行い、玉井さんと慶成さんの活動の展望を深掘りたいと思います。
会場は沿線空間でもある、国吉駅の旧大原タクシーとキハ車両で行います。これまで沿線空間で行った企画を振り返ってみると、沿線空間であるからこそ発生する特有の要素が作用して、その場を心地よく“溶きほぐし“てくれているように感じています。例えば沿線空間で行われた「本友」では、ワークの途中で列車のエンジンの音や警笛、乗客が手を振ってくれるといった事象により会話が一時中断されたけど、それが逆に対話に良い影響をもたらしたのでは、という感想も寄せられました。今回の企画もその「要素」を意識してみたいのですが、結局のところ“それを沿線空間でやってみる“ということに過ぎません。
さて、国吉駅では2023年10月の企画「種蒔き茶会」では沿線空間を”内側から”体験してみるというコンセプトのもと、キハ車両の掃除や菜の花の種を蒔きました。私たちが蒔いた種子が綺麗に咲いてくれると良いのですが、、菜の花の国吉駅を満喫しましょう。

― 今月のプランナー
金谷 聡史さん(ローカル鉄道研究 沿線空間クリエーション)

いすみへの最初の訪問は2017年の春。きっかけはいすみ鉄道でした。月刊『散歩の達人』のムック版の『鉄さんぽ』にいすみ鉄道の特集があり、紹介されている沿線風景に惹かれて、都内からも近いこともあり思い付きの日帰り旅行で訪ねました。きっかけがいすみ鉄道だったからということもあり、いすみラーニングセンターではローカル鉄道研究というテーマで活動しています。また「沿線空間クリエーション」と題して、鉄道の周辺にある領域にフォーカスして深掘ってみようという活動も行っています。全国のローカル鉄道、ローカル線の存続が危ぶまれているなか、新たな価値の評価軸を見つけて、ローカル鉄道の魅力を探求していきたいと思っています。

―テーマ
いすみ今昔物語をつくろう

住んでいる人にとっては日常でも、僕たちからしたらなんとなく魅力を感じるものがいすみにはたくさんある。最近のいラセンでよく話題になるテーマですが、そういったものが魅力的に見える理由の一つとしてそこにストーリーを妄想してしまうというのもある気がします。昔話や言い伝えが生まれる瞬間もこんな感じで不思議に見えるものから妄想することで始まったっていうのもあるんじゃないかとか…。

そこで今回はいすみで魅力に見えるものから言い伝えを作る日にしてみようかと思います。「ここに小人が住んでいたら…。」「昔の人が埋めたものだったら…。」「実は昔、空から降ってきたものだったら…。」などなど。皆さんが妄想する言い伝えをいっぱい教えてください。宇宙からギリシャ神話を想像して星座になっていったように、いっぱい妄想をかき集めたいすみは、ただ歩いているだけでは見えないたくさんの神話がちらばった風景が広がっているかもしれません。

最終的には実際に今昔物語集として、本当に言い伝えが詰まった本にしてみようかと思っています。

 

―今月のプランナー
小林 章太さん

いすみには昨年の5月から参加し始めて、まだ新参者感があるんですが、自分でも何かしたいなぁと常々思ってました。そこで活動日作りをやるということで改めて自分の興味を考え直したんですが、子供からプラモデルを作ったりしていたのもあって、建築をやっているのはただかっこいいものを作りたかったからだなと。なかなか浅い理由ですね笑。強いていうならかっこいいの中でも一個一個ストーリーが見れるような複雑なものがいいなと思っていたんですが、一人っ子だったっていうのもあって子供のころから、結構妄想することが多くて、そういう部分のもストーリーを考えるのがもともと好きだったのかもしれません。

いすみでは隈事務所の仕事とは一味違う自分の好きなことを模索していこうと思います。

― 今月のテーマ
わたしたちの種まき 観察編

いすみラーニングセンターでは、月に1日、みんなでいすみで過ごします。都心から通える田舎で、日常から少し離れたい人、暮らしの営みを学びたい人、未知なる出会いを求める人など、足を運ぶ理由はさまざまです。

1日の過ごし方はメンバーが交代で考えます。知りたいこと、好きなことから紡がれた一日には、メンバーのひととなりが表れます。そして、その日に参加した人たちがそれを楽しんで応援することで、その日限りのいすみの1日が完成します。

昨年初夏には「わたしたちの種まき」と題し、各自が興味のあることをもとにして、過ごしてみたい、いすみの一日のラフアイデアをつくりました。植物の種に見立てたそれらは、あれから半年が経ち、今はどうなっているでしょうか。そろそろ経過を観察してみませんか。芽を出していなくてもOK、立派に成長していなくてもOK、枯れてしまっていてもOK。これからどう育てるか、みんなで知恵を絞ればよいのです。

今回のテーマは「わたしたちの種まき 観察編」です。種のその後を観察したり、去年の活動日を振り返りながら、次のアイデアや試みについて語りあいましょう。時間があったら、去年のことを少し思い出してみてください。

 

長志十字路の空き家

去年9月、KUROSAWA KAWARA-TENの黒澤さん(2022年9月訪問先/いラセン初期の活動拠点だった出口商店の改修設計者)が港の家まで来て、空き家活用の相談をしてくれました。 「地方のくらしとビジネスの可能性を探求する」には、空き家の問題は避けて通れません。 暮らす・活動する・集まる・保管する・記憶する・再生する・保存する・思考するといったプラスの面、朽ちる・棲みつく・危険になる・放置される・支出が嵩むといったマイナスの面、どちらも含んでいます。 今月は、その空き家を見学させてもらい、感じた事・気付いた事・妄想した事などを共有したいと思います。このブレストが種蒔きとなり、将来何かの芽が出たら、またみんなで水をやり大きく育てましょう。

― テーマ
大原漁港映画祭

今年の2月に「いすみの入口」をテーマに活動日を企画して、はや10ヶ月。今回は大原漁港を舞台に、一人一人が監督となり映像作品をつくりながら漁港の入口探しを企画しました。

「なんとなく漁港が気になる」今回の企画はそんな気持ちが湧いてきたことがきっかけです。今年の活動日は漁港を訪れる機会が多かったように感じます。そんな中で、漁港や漁船、遊漁船、漁師さん…様々なものをみたり、触れたり、そんな場面が多くありました。そのたびに自分が漁港を取り巻く営みや暮らしを全く知らないことにハッとしました。

そこで今回は、まだまだ未知の空間である大原漁港をフィールドに、ひとりひとりが気になるもの、価値を感じるものを撮影して、映像作品として発表します。どんなものに目を付けるのか、どんな風景をどんな角度で撮影するのか、切り取りかたは…。皆さんの頭の中にある今の「大原漁港」を映像として表現してみてください。映像作品は「大原漁港映画祭」と題した当日の発表会で上映し、いラセンのSNSにも掲載します。皆さんの作品が誰かの入口となったらおもしろいですね。

 

― 今月のプランナー
ゆりな さん

富士山の麓で生まれ育ちました。海は常に程遠い存在で、自ら訪れるということはありませんでした。いラセンに参加する中で漁港に訪れて、初めて「海とともにある暮らし」に触れました。山の暮らしとは全然違いますね。
私はもともと一所にとどまることが苦手で、地方と都市を行ったり来たりしているときが一番ほっとします。夜に数十キロ離れた鉄道の音が聞こえてきたり、日が沈むと真っ暗になったり、私は地方のそんなところに魅力を感じます。都市の便利さや刺激的な部分も好きです。行ったり来たりすることで気づくこともたくさんあります。今回はその一つを企画にしました。個性豊かなメンバーによる映画祭がどうなるのか、楽しみです。

 

 

― テーマ
沿線遺産 再発見

いすみに住んでいない私たちが、いすみで活動をはじめて、まもなく5年。都会と違って、境界があいまいな街並みに解きほぐされるような気分。自然ゆたかで、のどかな田園風景に癒される体験。急かされない、ひとつながりの時間。そうした恩恵をいつも、いすみからもらっている気がします。はっきり言葉で示すのは難しいのですが、そんな恩恵を感じる「もの」が、いすみにはあるのです。

今回それらを半日かけて、散策したいと思います。大多喜のいすみ鉄道の本社からはじめて、いすみ鉄道の各駅に散らばって、それぞれが、これが良いと思っている「もの」、いすみらしいと思う「もの」残したい「もの」。今回のワークショップでは、これらを「沿線遺産」と呼ぶことにしました。きっと、私たちが感じるそれらは、地元のみなさんからすると、思いもよらないものかもしれません。でもそれを発見することが、私たちの存在意義かもしれないと思っています。

その散策の舞台は、いすみののどかな景色ランキング上位の「いすみ鉄道」の、沿線空間で行います!当日の成果は、神奈川大学の寿太郎研の3年生がまとめ、まちの方や行政や商工会のみなさんに、伝えたいと思います。

― 今月のプランナー
高橋 寿太郎 さん (神奈川大学 建築学部 教授)/神奈川大学 建築学部 寿太郎研究室

創造系不動産という会社を経営しつつ、ライフワークとして、いすみラーニングセンターで活動し、また神奈川大学で教えていますが、今回の企画は、はじめて大学研究室の正式なプロジェクトにすることができました。いラセンと寿太郎研のコラボです!

またもうひとつ、はじめてのことがあります。これまで、ちゆきさんやメンバーがプランナーとして様々ないすみの魅力あるひとや場所を巡っていましたが、なんと私が、企画を考えたことです。

この沿線遺産の企画は、ここ数年、何となく考えていました。私ひとりではできませんでしたが、寿太郎研のみんなの力や、いすみ鉄道さんや、いラセンのみんなの力を借りて、実現です。

 

― テーマ
種蒔き茶会

2020年10月18日に「菜の花の種まきイベント」に参加しました。普段立ち入ることができない鉄道地内(管理区域)に立ち入ることができ、種を蒔き、開花時期に訪れるといった一連の体験により、いすみ鉄道とその沿線をより身近に感じることができるようになりました。公共交通機関である鉄道を”身近に感じるようになる”とは、単に日常的あるいは観光目的の交通手段としての利用の関係を超え、次なる関係の構築につながる可能性があり、ローカル鉄道の本質的な魅力に迫ることができるのではないかと考えています。

種蒔き茶会のテーマは「沿線空間を”内側”から体験する。」です。
菜の花の種を蒔き、掃除をしたりとちょっとだけ鉄道職員さんのお手伝いをして、沿線空間の関係者になる。菜の花の季節には”外側”の人が観に来たり写真を撮ったりする。「客が行きつけの居酒屋でカウンターの内側に立ってちょっとだけお店を見といてと頼まれた感覚。」と玉井さんが喩えてくれました。場所は国吉駅のすぐ横のキハ車両が置いてある辺りです。キハ車両もこの日は開放されます。そこで菜の花の種蒔き作業をして、お茶しながら、おしゃべりしながら、沿線空間の一日を過ごす。ただそれだけの企画ですが、沿線空間を内側から体験した時、どんなことを感じたり考えたり話したりするのか、皆んなで共有することができればと思っています。

― 今月のプランナー
金谷 聡史さん(沿線空間クリエーション)

いすみへの最初の訪問は2017年の春。きっかけはいすみ鉄道でした。月刊『散歩の達人』のムック版の『鉄さんぽ』にいすみ鉄道の特集があり、紹介されている沿線風景に惹かれて、都内からも近いこともあり思い付きの日帰り旅行で訪ねました。きっかけがいすみ鉄道だったからということもあり、いすみラーニングセンターではローカル鉄道研究というテーマで活動しています。
幼い頃から鉄道は好きですが、乗り鉄、撮り鉄というより鉄道模型で風景を作る遊びが好きでした。ジオラマで風景を作るためには、どのような人がどのような暮らしをしているのか想像してその風景が生まれる背景にあるストーリーや仕組みを考えます。それを考えることが楽しくて、今の建築設計のスタンスにつながっている気がします。

― テーマ
海と暮らす生活や文化について学ぶ「おおはら学」 シリーズ第3弾
大原はだか祭りの取材祭り!

一年のうち、いすみがもっとも活気づく日、それが大原はだか祭りです。上半身裸の男たちが神輿を担いで町中を練り歩き、波の中でそれらを舞い上げる。見守る地元民、このため里帰りした家族、観光客の人だかり。静かな町の二日限りの熱狂。

しかし、この数年は新型コロナウイルスのため開催が見送られていました。去年は規模を小さくして再開していましたが、ようやく今年から本格的に開催することになりました。

いすみラーニングセンターの発足は2019年の春だったので、はだか祭りの本格開催はその年の夏以来になります。そのため、メンバーの多くは、いすみを知るために集まっているにも関わらず、この日は未体験です。そこで、今月の活動日はお祭りの日にしました。とはいえ、観るだけで終わらせず、間接的にでも何か参加できないか? と編集部は考えました。

そこで、各メンバーがお祭りを取材して記事をつくり、それらを集めて「いラセン新聞」の号外にまとめることにしました。私たちのお祭り、取材祭りです。各記事は小さく断片的で、集めてもお祭りの全貌は見えてこないでしょう。それでよいのです。私たちの目に映ったお祭りを残したいのです。

この新聞を読んでくれた人がひとりでもふたりでも来年以降のお祭りに観光に来てくれたら、私たちなりのいすみへの恩返しになるのではないでしょうか?

 

一週前夜祭
9月14日(木)20:00@zoom

活動日
9月23日(土)@大原